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遺言について<遺言書の作成>
遺言の種類
民法では、法律に定める一定の方式による遺言でなければ無効であるとしており、必ず書面に記載することが要求されています。代表的な遺言の方式には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
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公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
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作成方法 | 証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が内容を口述して公証人に作成してもらう方法 | 遺言者が遺言の全文、氏名、日付を自筆し、捺印をする最も簡単な方法 | 遺言者が証書を公証人および証人2名以上に提出し自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述し公証人および証人ともに署名・捺印し作成する方法 |
手続き場所 | 公証役場(原則) | 特に制限なし | 公証役場(原則) |
長所 |
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短所 |
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遺言書の変更・取り消し・訂正について
遺言者は遺言書の作成後、その生存中はいつでも 遺言を変更したり取り消したりすることができます。変更や取り消しは改めて遺言することによって行いますが、前の遺言書と同じ形式である必要はありません。
【例】前の遺言書のすべてを取り消す場合
「私は平成23年4月1日に作成した遺言書を全部取り消す」と記載した遺言書を作成します。
【例】前の遺言書の一部を取り消す場合
「私は平成23年4月1日に作成した遺言書のうち、長男山田一郎に不動産全部を相続させるとした部分について取り消す」と記載した遺言書を作成します。
遺言書の効力は日付が後の方が優先します。したがって、複数出てきた場合は最後の遺言書に反しない部分については以前の遺言書の内容が有効になります。
自筆による遺言書を書き間違えた場合は、訂正箇所に二本線を引き、押印します。加筆する場合には、“{”を付けて加筆し押印します。削除する場合には、二本線を引き押印します。そのうえで、欄外に「●行目●字削除し●字加入」というように記入し署名を付け加えます。

遺言書についての疑問や誤解
遺言書は亡くなった人の希望や意思が込められているものですが、残された家族は遺言書が見つかったことや、遺言書の内容に驚くこともあるでしょう。遺言書についての疑問や誤解について、いくつか見ておきましょう。
- Q
- 遺言書があったら、必ず遺言書の内容どおりに財産の分割を行わなければならない?
- A
- 遺言書は被相続人の意思ですので、基本的にはその内容どおりに分割することが望ましいでしょう。しかし、相続人・受遺者全員の合意があれば、遺言書の内容とは異なる分割をすることもできます。
- Q
- 遺言書に記載されていない財産があった場合は?
- A
- 相続人全員で遺産分割をする際にその財産をどのように分けるのか話し合い、合意したうえで分けることになります。
- Q
- 遺言書を発見したら開封してもいいの?
- A
- 勝手に開封してはならないので注意しましょう。公正証書遺言以外の遺言書は、偽造や変造がされないように、家庭裁判所に申し立てをして、遺言書の存在について検認を受ける必要があります。
なお、検認自体が遺言書の有効性を判断するためのものではなく、あくまでも保全のために行われるものです。もし、間違って開封してしまった場合も、内容や効力が失われることはありませんので、家庭裁判所において検認を受けましょう。
- Q
- 遺言書を隠したら?
- A
- 不当な利益を目的として、遺言書を隠したり破棄をしてしまった場合は、「相続欠格」となり相続人の資格がなくなります。ただし、相続欠格となっても相続欠格となった人に子どもがいれば親に代わって相続することができます(代襲相続)。