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証券税制早わかり 株式の税金

個人投資家のための 証券税制早わかり

株式の配当金

平成28年1月1日以後における株式(投資口を含む)の配当金に係る税制は以下のとおりで、平成27年12月31日以前と同様です。

point 1

配当金の支払いの際に所定の税率により所得税等が源泉徴収されます。

  • 上場株式の配当金(大口個人株主が内国法人から支払いを受ける上場株式の配当金を除く。以下同じ)に対する源泉徴収税率は、合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。
  • 非上場株式の配当金(大口個人株主が内国法人から支払いを受ける上場株式の配当金を含む。以下同じ)に対する源泉徴収税率は、20.42%(所得税および復興特別所得税20.42%、住民税なし)です。
メモ
  • 上場株式の配当金であるか非上場株式の配当金であるかは、原則として、配当金の支払いの基準日において上場株式であるか否かにより判定します。
  • 株式の配当金の収入すべき時期は、原則として、株主総会等により剰余金の配当について定めたその効力を生ずる日とされています。ただし、源泉徴収ありの特定口座に受け入れた配当所得等については、金融商品取引業者等(証券会社等)から交付を受けた日となります。

point 2

上場株式の配当金については申告不要を選択することができます。

  • 上場株式の配当金については、支払いを受ける金額の多少にかかわらず、申告不要(確定申告をしないで済ませること)を選択することができます。
  • 非上場株式の配当金については、所得税は少額配当についてのみ申告不要を選択することができますが、住民税は特別徴収(源泉徴収)が行われませんので、少額配当を含めすべて総合課税の対象となります。

point 3

上場株式の配当金について確定申告をする場合は、申告分離課税または総合課税のいずれかを選択しなければなりません。

  • 上場株式の配当金(外国株式やJ–REITなどの配当金を除く)について総合課税を選択した場合は、配当控除の適用対象となります。一方、申告分離課税を選択した場合は、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができます。
総合課税または申告分離課税のいずれかを選択 国内株式の配当金に係る配当控除 上場株式等の譲渡損失に係る損益通算および繰越控除
  • 非上場株式の配当金は、総合課税(少額配当は所得税のみ申告不要も可)の対象となります。

株式の配当金に対する課税

配当金の区分に対する課税方法と源泉徴収税率

(注)住民税での選択は所得税の確定申告における選択の結果と一致しますので、所得税で申告不要を選択すれば、住民税においても申告不要を選択したことになります。

用語解説

申告不要 納税者の選択により、確定申告をしないで済ませることができる制度です。源泉徴収される所得について申告不要を選択した場合は、その源泉徴収税額のみで納税が完了します。
少額配当 非上場株式等の配当金のうち、1銘柄につき1回に支払いを受ける金額が、10万円に配当計算期間の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額以下の配当金をいいます。
大口個人株主 内国法人から支払いを受ける上場株式等の配当金の支払基準日において、発行済株式(投資口を含む)総数の3%以上を保有する個人株主(投資主を含む)をいいます。

国内株式の配当金に係る配当控除

国内株式の配当金は、法人税課税後の所得を原資としてその法人の株主に分配されることから、この配当金に所得税が課税されると、法人税と所得税の二重課税となります。そこで、この二重課税を調整する目的で設けられているのが、配当控除です。

  • 配当控除は、国内株式の配当金について総合課税を選択して確定申告した場合に適用を受けられます。申告分離課税を選択して確定申告した配当金や申告不要を選択した配当金については、配当控除の適用はありません。
  • 外国株式やJ-REITなどの配当金については、配当控除の適用はありません。

(注)国内株式投資信託の収益分配金に係る配当控除についてはこちらをご参照ください。

配当金について総合課税を選択して確定申告した場合と、源泉徴収のみで申告不要とした場合の負担税率の比較

配当金について総合課税を選択して確定申告した場合と、源泉徴収のみで申告不要とした場合の負担税率の比較

(注)平成25年1月1日から各年分の所得税額に対して税率2.1%の復興特別所得税が課税されることとなり、かつ、平成27年分から課税所得金額4,000万円超の部分の所得税率が45%に引き上げられたことに伴い、平成27年分以後の「総合課税[配当控除後の負担率①-②]」には、当該各欄の負担率のうち所得税の負担率に復興特別所得税の税率を乗じた税率(課税所得金額が330万円を超える各欄の下段かっこ内の税率)が上乗せされます。

(注1)配当控除後の負担率(①-②)は、計算上は2.2%(15%-12.8%)となりますが、所得税の配当控除率(10%)のうち所得税率(5%)を上回る部分(5%)が還付されるわけではありませんので、結局、住民税の負担率7.2%(10%-2.8%)がそのまま全体の負担率となります。

所得税および住民税から控除される配当控除額は、次の算式によって計算を行います。

(注)配当控除額を計算する場合における「課税所得金額」とは、課税総所得金額、課税短期譲渡所得金額、課税長期譲渡所得金額、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額、上場株式等に係る課税配当所得等の金額および先物取引に係る課税雑所得等の金額の合計額をいいます。

所得税および住民税から控除される配当控除額の計算式

外国株式の配当金

国内において支払いの取扱者(金融商品取引業者等(証券会社等))を通じて交付を受ける外国株式(国外において発行された株式)の配当金については、国外で源泉徴収された外国税額がある場合、下記の計算式のとおり、その外国源泉徴収税額を控除した後の配当金額に対し、国内においても源泉徴収されます。その結果、国外と国内での源泉徴収税額に重なる部分が生じることになります。

  • 上場外国株式の配当金に対する国内における源泉徴収税率は、国内の上場株式等の配当金と同様に、合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用されます。
  • 上場外国株式の配当金で、国内において支払いの取扱者(金融商品取引業者等(証券会社等))を通じて交付を受けるものについては、支払いを受ける金額の多少にかかわらず、申告不要を選択することができます。
  • 外国株式の配当金については、配当控除の適用を受けることはできません。
  • 外国株式の配当金について確定申告をする場合に確定申告書に記載する配当金の収入金額は、外国源泉徴収税額および国内源泉徴収税額を控除する前の金額となります。

外国株式の配当金に対する国内での源泉徴収税額の計算式

【平成26年1月1日以後】

[外貨ベースの配当金かける(1ひく現地源泉税率)かける邦貨換算レート(TTB)]かける(国内源泉徴収税率)上場株10.147パーセント(所得税および復興特別所得税7.147パーセント 住民税3パーセント) 非上場20.42パーセント(所得税および復興特別所得税20.42パーセント 住民税なし)

(注)現地源泉税率には、実際に源泉徴収が行われていない「みなし外国税額」の税率は含まれません。

メモ

外国税額控除

外国株式の配当金について確定申告をする場合は、上場株式の配当金については総合課税または申告分離課税のいずれかにより、非上場株式の配当金については総合課税によることになります。この場合、国外で課税された税額があるときは「外国税額控除」の適用を受けることができます。外国税額控除は、確定申告において国外で課税された税額を国内で課税される税額から控除することにより国際間の二重課税を調整するための措置であり、控除限度額は次のとおりです。

控除限度額イコールその年分の所得税額かける(その年分の国外所得総額わるその年分の所得総額)

なお、わが国が締結した租税条約の中には「みなし外国税額控除」の規定が設けられているものがあります。みなし外国税額控除とは、その外国株式が発行された国で実際には課税されていなくても課税されたものとみなして、確定申告において外国税額控除の適用を受けることができるというものです。現在、外国株式の配当金についてみなし外国税額控除の適用を受けることができる国は、ブラジル・中国・フィリピンなどです。

(注)外国税額控除(みなし外国税額控除を含む)の適用を受けるには、「外国税額控除に関する明細書」その他の必要な書類を添付のうえ確定申告書を提出する必要があります。

(例)平成28年分の所得総額が10,000,000円、うち米国株式の配当金200,000円(株式の配当所得に対する米国における源泉徴収税率は10%)、平成28年分の所得税額が1,300,000円の場合、

控除限度額:1,300,000円×200,000円/10,000,000円=26,000円
外国税額:200,000円×10%=20,000円
外国税額控除額:20,000円(26,000円>20,000円)

株式等の譲渡所得等

平成28年分以後の株式等の譲渡所得等に対する税制は、基本的には平成27年12月31日以前と同様ですが、次のpoint 1に掲げる改正が行われていることに留意する必要があります。

point 1

株式等の譲渡所得等(注)は申告分離課税の対象ですが、平成28年分以後は、上場株式等のグループと一般株式等のグループとの間で譲渡損益を通算することができず、それぞれのグループ別に区分して「上場株式等の譲渡所得等」または「一般株式等の譲渡所得等」の金額を計算する必要があります。

(注)株式等の譲渡による所得は、通常の場合は譲渡所得、営利を目的として継続的に売買する場合は事業所得または雑所得に区分されますが、これらをまとめて「譲渡所得等」といいます。

  • 上記の「上場株式等のグループ」とは上場株式等に特定公社債等を加えたもの、「一般株式等のグループ」とは非上場株式等に一般公社債等(=特定公社債等以外の公社債等)を加えたものです。上場株式等や特定公社債等の意義については「上場株式等」とはをご参照ください。
  • 平成28年分以後、特定管理株式等の価値喪失による損失は上場株式等の譲渡損失とみなされますので、その損失を上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、上場株式等のグループの譲渡益から控除できるようになりました。詳しくは特定管理株式等が価値を失った場合をご参照ください。

point 2

株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税の税率は合計20.315%です。

株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税の税率は合計20%(所得税15%、住民税5%)ですが、確定申告の際に所得税額の2.1%に相当する復興特別所得税(0.315%)が付加されます。

株式等の譲渡所得等に対する課税

区分 所得区分 税率
  • 上場株式等の金融商品取引業者等(証券会社等)を通じた譲渡など特定の譲渡
上場株式等の譲渡所得等 所得税15%
復興特別所得税 所得税額×2.1%
住民税5%
  • 上記以外の上場株式等の譲渡(相対取引による譲渡など)
  • 一般株式等(非上場株式等)の譲渡
一般株式等の譲渡所得等

「公開買付(TOB)」に応じて上場株式を譲渡した場合の課税関係

  • 個人株主が公開買付(TOB)に応じ公開買付代理人である金融商品取引業者(証券会社)を通じて上場株式を公開買付者に譲渡した場合は、その譲渡代金の全額が上場株式の譲渡収入金額となります。ただし、公開買付者がその株式の発行法人である場合は、その株式発行法人による自己株式の取得となり、公開買付に応じた個人株主が株式発行法人から交付を受けた金銭その他の資産の合計額のうち、①その交付の基因となった上場株式に対応する発行法人の「資本金等の額を超える部分の金額」は上場株式の配当所得(みなし配当)の収入金額とみなされる一方、②その交付の基因となった上場株式に対応する発行法人の「資本金等の額以下の部分の金額」は譲渡収入金額とみなされて、その株式の取得価額との差額はその上場株式の譲渡損益となります。

ラップ口座における上場株式等の譲渡

  • ラップ口座において運用される上場株式等の譲渡益は、個人の場合、申告分離課税の対象となり、通常「上場株式等の譲渡による雑所得」として確定申告を行うことになります。なお、その年分の確定申告においては、「上場株式等の譲渡による譲渡所得」や「上場株式等の譲渡による事業所得」がある場合、これらの所得と通算し、「上場株式等の譲渡所得等」を計算することになります。

    (注)ラップ口座については特定口座を利用できるものもあります。この場合、特定口座内で他の株式等の譲渡損益と通算されることになります。

  • 個人のお客さまがラップ口座における運用報酬として金融商品取引業者(証券会社)に支払った金額のうち上場株式等に係るものには、上場株式等の譲渡による雑所得または事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができるものもあります。しかし、ラップ口座において特定口座をご利用の場合、運用報酬として支払う費用の全部または一部は、法令上、「特定口座年間取引報告書」の「取得費および譲渡に要した費用の額等」の欄に記載すべき費用以外のラップ口座の管理・運用等に係る費用であるため、運用報酬を必要経費に算入して、上場株式等の譲渡による雑所得または事業所得の金額を計算するには、確定申告が必要です。

上場外国株式の譲渡

上場外国株式には、外国金融商品市場(外国有価証券市場)に上場しているものと、国内の金融商品取引所(証券取引所)に上場しているものがあります。どちらの市場で取得した外国株式であっても、上場株式等の譲渡所得等については、国内株式と同様に「申告分離課税」の対象となります。

メモ

税務上用いられる邦貨(円)換算レート

外国証券(外国債券・外国株式・外国投資信託の受益権)等を売買し、外貨による決済が行われた場合は、取引をした金融商品取引業者等(証券会社等)の公表する為替レートで円換算した金額により銘柄ごとの取得価額または譲渡価額の計算を行います。この場合、取得価額については買約定日のTTS(対顧客直物電信売相場)、譲渡価額については売約定日のTTB(対顧客直物電信買相場)により円換算を行います。ただし、買約定日が平成10年3月31日以前である場合の取得価額については、外国為替公認銀行の公表するTTSにより円に換算することとされています。なお、外貨建による売買であっても、円貨による授受が行われた場合は、その円貨により譲渡損益の計算ができますから、あらためて円換算を行う必要はありません。

ストックオプション制度

ストックオプションとは、あらかじめ定められた価格(権利行使価額)で、一定の権利行使期間内に、株式の発行法人から一定株数を取得することができる権利(新株予約権等)をいい、発行法人が取締役、執行役または使用人などに付与します。その後、発行法人の業績向上等によって株価が上昇したときに、付与された権利を行使すれば、その株式を市場価額より低い権利行使価額で取得することができ、その株式の売却により、キャピタルゲイン(値上がり益)を得ることができるという制度です。

時間の経過による価格の推移と株価の動き図

(注)上図はイメージ図であり実際の株価の動きとは異なります。

税制適格ストックオプションと税制非適格ストックオプション

ストックオプション制度を税務の面から大別すると、「税制適格ストックオプション」と「税制非適格ストックオプション」とに区分されます。税制適格ストックオプションは、内国法人である株式会社が実施するものであること、権利の付与を受ける取締役、執行役または使用人は、大口株主およびその特別関係者ではないこと、その他権利行使期間、権利行使価額、権利行使により取得した株式の保管委託などについて、税法により一定の要件が定められています。これらの要件を満たしていないストックオプションは、税制非適格ストックオプションと呼ばれています。ただし、そのストックオプションが公正な評価額で有償発行(金銭の払い込みにより取得)されたいわゆる有償ストックオプションは、原則として、ここにいう「税制非適格ストックオプション」に該当しません。

  • 個人に付与された譲渡制限付ストックオプションの税務上の取り扱いについてまとめると、次表のとおりとなります。

左右スクロールで表全体を閲覧できます

区分 税制適格
ストックオプション
税制非適格
ストックオプション
ストックオプションを
付与された時
課税なし 課税なし
権利行使前に付与(発行)法人に
譲渡した場合(注1)

(注)平成26年4月1日以後の譲渡に適用する。

譲渡不可

(注)譲渡した場合は、税制非適格となり、右欄と同様の課税関係となる。

次の算式により計算した金額(譲渡益)が給与所得等として課税の対象 譲渡益=譲渡価額 - 取得価額
ストックオプションの権利を行使し株式を取得した時 権利行使時における経済的利益 課税なし

(注)取得した株式の取得価額は権利行使価額による。

次の算式による経済的利益が給与所得等として課税の対象
経済的利益=権利行使時の時価 - 権利行使価額

(注)取得した株式の取得価額は権利行使時の時価による。

ストックオプションの権利行使により取得した株式 保管委託契約をした金融商品取引業者等(証券会社等)への保管委託 保管委託しなければならない 任意
譲渡した場合 次の算式による譲渡益に課税 譲渡価額 ひく 取得価額(権利行使価額) ひく 譲渡費用

(注)譲渡は保管委託契約をした金融商品取引業者等(証券会社等)への売委託または当該金融商品取引業者等に対する譲渡に限定

次の算式による譲渡益に課税
譲渡価額 ひく 取得価額(権利行使時の時価) ひく 譲渡費用
保管委託契約をした金融商品取引業者等(証券会社等)からの株式の返還・移転があった場合 返還・移転の時の時価により譲渡があったものとみなされ、みなし譲渡益に課税 みなし譲渡価額(返還・移転時の時価) ひく 取得価額(権利行使価額)

(注)以後、その株式は、返還・移転時の時価により取得したものとみなされ、取得価額は、返還・移転時の時価となる。

課税関係は生じない

(注1)ストックオプションの権利行使前に譲渡制限の解除を受けて付与(発行)法人以外に譲渡した場合、原則として、その譲渡制限が解除された日における価額に基づき給与所得等として課税の対象になるものと解されているようです。

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